メインのシステム | |||||||||||||||||
上記のような構成である。オーディオに対して関心がない人から見ると高級品かも知れないが、オーディオ・マニアから見ると必殺安物固めのシステムだ。 CDプレーヤにパイオニアのファイルタイプを使っているのは、所有しているCDが多いからで、床に積み上げる状態だったからである。4台使っているが、2系統にしてソニー製のセレクタで切り替えている(光接続)。最初は2台使っていて、一度1台はディスクを送る機構が故障した。その後2台追加購入したが、そのうち1台は最近読み取り不良である。購入当初から全く故障がないのは、4台中2台のみ。 AVアンプには、少し前までヤマハのDSP−AX1400を使っていた。オーディオ的には、この方がいいアンプだったかも知れない。それ以前に使っていたオンキョーのもっと安いAVアンプに比べて、明らかにいい音だった。そのオンキョーのアンプを買ったのは、それまで使っていたプリメインアンプでは、入力端子の数が足りなかったからである。 ヤマハの前に使っていたオンキョーのアンプは、サラウンドモードで使うと、最高音部でモザイク・ノイズとでも呼ぼうか、妙に粗い部分があった。バーンスタインのマーラー全集で特に目立った(耳立った?)のだが、10kHzを超えるところでカクカクと表情が変化する。DSPの動作に問題があったのだろう。特に聴覚が鋭いわけでもない私だが、マーラー全集を愛聴していたので、気になった。また全般にステンレスのように、色彩感のない音だった。 ちょっと無理してヤマハを買ってみると、音全体がぐっと落ち着き、高域もまったりして、銀色あるいは洋銀色をしているように聞こえた。マーラーでも全く粗さがない。大いに満足していたのだが、ある日突然故障した。フロントとサブウーファーは動作しているが、センターとサラウンドは接触不良のような汚れた音が出る。DSPがダメになったのだろう。仕方なくアンプを以前のオンキョーに戻した。しかし、やはり気のせいでなく、音はあまり良くない。聴くに堪えない音ではないが、何だか色気がないのである。 修理を依頼しようと考えたのだが、これまでオーディオ機器の修理依頼で不愉快な思いをしたことがたびたびある。急に音が悪くなれば、故障に決まっている。それなのに、ユーザーをバカにしているとしか思えないような質問(スピーカーはちゃんとつないでいますか?など)をしてくる。症状の確認が必要だというのだが、「そんなもん、持って帰って調べたら分かるだろうが」と腹が立つのだ。私の知る限り、メーカーはできるだけサービスをしたくないようである。 躊躇していたところ、AVアンプも最近はかなり変わってきていることを知った。いずれアナログ放送が終了すると、テレビも買い換えることになると思い、HDMI端子のあるアンプをインターネットで検索したが、概して高価だった。ヤマハを買ったときは余裕があったのだが、今回は少し厳しかった。結局、あれこれ比較して、オンキョーの新型アンプにしたわけである。 感想を言えば、ヤマハのような柔らかさこそないが、高域は繊細で粗さはない。音場補正は完璧ではないように思う。大部分のCDで、いくぶん高域の強調感が残る。ヤマハもそうだったので、アンプのせいではないのかも知れない。 ややこしい接続を終えた後、まずショスタコーヴィチの交響曲を聴くと、音が青みがかっている。ヤマハはそんな音がしなかった。よく考えると、かつて真空管アンプで聴いていたとき以来、青系統の音がスピーカから出たことはなかった。これは不思議と思って、いろいろCDを換えて聴いてみたところ、かなり鮮やかな色彩を持っている。おそらくオンキョーにも、私のような音と色彩の共感覚の持ち主はほとんどいないだろうから、偶然の産物だろう。この共感覚は、分からないことが多いようである。私はたまたま音楽に関心を持ったので、あれこれ話すうち、音には色を感じない人の方が多いと知って驚いた。子供の頃、音を聴くと形や色を伴って聞こえるのが普通だと思っていたのである。ちなみに、色は分からないが形を感じるという人もいるようだ。 スピーカは、以前ヤマハのNS−1000MMというミニスピーカーを使っていた。これはサラウンド用だったらしく、一応音は出るという程度のスピーカである。少し余裕があったときに安価に売られていたDENONのSC−E727Rを買ってみたら、いい音だった。これはウーファーにダブルドライブを使ったモデルで、低音から高音までほぼ均一に出るし、その低音が分厚く聞こえる。高音にも厚みを感じ、満足していた。 ところが同じ頃DVDプレーヤを購入したら入力端子が少なくなり、やはり安売りしていたオンキョーのAVアンプを買った。ある日試しに遊ばせていたヤマハのスピーカーをつないで4スピーカーのサラウンドにしたところ、ソースにもよるが、なかなか面白かった。というわけで、今度はフロントにやはりDENONの555シリーズのトールボーイタイプを購入。これはウーファーが2本あるのに、低音不足だった。しかし高音は悪くなかった。低音は、当初もっぱらサラウンド用のSC−E727Rから出ていたが、やがてセンターとサブウーファーも買い込んだ。 こうした経過で現在のようなシステムになったわけである。しかし果たしてちゃんとした音が出ているのか?アナログ時代は、自分ではちゃんとした音に調整したつもりでも、実際はとんでもない音を出していることがあった。たまたま古いスタックスのコンデンサ・ヘッドフォン(SR−3)を所有していたので、時折その音を聴いて補正していた。 そこで今回新しいヘッドフォン(SR−404)と専用アンプを購入して、スピーカーの音と聞き比べてみたら、ほとんど変わらない音がしていた。これで一安心である。 しかし、SR−404とあまり変わらないということは、これ以上改善する余地はほとんどないということでもある。コンデンサ・ヘッドフォンよりいい音がするスピーカーは、超高級品だけだろう。それは私には手が出ない領域だ。というわけで、現在の装置の音には満足している。 それでも「限りなき物欲」は、できればホーン型スピーカーを使いたいと言っている。昔、高級オーディオ店で聴いたマルチチャンネル・アンプ駆動のホーン・スピーカ・システムの音に感嘆したことがあるからだ。ただ、今までの経験では、マルチチャンネル・アンプ駆動そのものも音に影響する。同じスピーカーでも、単一アンプでネットワークを介した場合より、音が良く聞こえることが多かったのである。これも理由は全く分からない。ただ「なぜこのスピーカーでこんなにいい音がするんだろう」と不思議に思ったら、マルチチャンネル・アンプだったという例が多い。 そういえば、マルチチャンネル・アンプ駆動の音を初めて聴いたのは、サンスイ(当時は山水電機)のデモだった。JBLのスピーカーシステムをサンスイの高級真空管アンプのマルチで鳴らしていたのである。その時は、「何もそんな高価なシステムでなくても」と思いながら聴いていたので、別に感心しなかった。当時はレコード・コンサートというのがよく行われていた。私も音楽を聴く目的で行ったのだった。ただその日、最後の方で、司会者が「このスピーカーはプリメインアンプでもいい音がする」と言って最高級品のプリメインアンプ(AU−111だったか?)で鳴らして見せた。私にはわずかながら奥行き感と迫力が減少したように聞こえた。どちらにしても私には手の届かない超高級品であるから、装置にはあまり関心がなかったのだ。あれはどこだったか思い出せない。かなり広いホールだったような記憶がある。 ところで、当時の私はトランジスタ・アンプの音が好きではなかった。音がざらついて聞こえたのだ。これが友人には分かってもらえない。みんな真空管と同じ音だと言う。ある日、周りの店頭で軒並みトランジスタアンプの音が出ているので、うんざりしながら、友人たちと連れだって歩いていると、向こうの方で真空管アンプが鳴っているのが聞こえた。「最近珍しい。ほら、あの角を右に曲がると、真空管アンプが鳴っているよ」と言うと、「ホントか、ホントか」というわけで、みんなで見に行った。もちろん正解である。真空管だからという先入観から違うと言っているのではないということが証明されたわけだが、事実、私の耳には全く違う音に聞こえたのだから仕方がない。というより、私から見ると、なぜ他の人には違いが分からないのか、それが分からなかった。 当初実用化されたトランジスタ・アンプは準コンプリメンタリという回路方式で、これが私の好みに合わなかったようだ。70年代に入ると純コンプリメンタリ・アンプというのが登場し、それだとざらつき感が払拭されていた。いくぶん色彩が乏しかったが、一応の音は出ているので、抵抗はなくなった。 ビデオ系統については、現在テレビを割合古いVHSタイプのビデオデッキで見ている。接続はS−VHSである。いずれはブルーレイレコーダに買い換えたいと思っているが、いつのことになるか分からない。 DVDプレーヤも、以前使っていた東芝のDVDの調子が悪く、正常に再生できないディスクが増えてきたので、オンキョーの一番安いモデルに買い換えたのである。DV−SP502はなかなか安定していて、まずまずだ。音は大して良くないが、同軸接続でCDを聴くと、不思議にいい音に聞こえる。なぜか迫真感が増しているようなのである。原理的には光接続と同じだと思うのだが、音が違って聞こえる理由は分からない。たとえば音量が少し違うだけかも知れない。ただ「同軸の方が音がいい」というのは、以前から言われていたことではある。 ビデオ系では、スカパーでクラシカ・ジャパンを受信している。ビデオではないが、最近ミュージックバードの受信も始めた。 スカパーのスターデジオは、音がイマイチだ。高音も低音も伸びきらず、何か詰まったような音がする。しかしチャンネル数が多いのが楽しい。ここで知ったCDを購入したこともある。 クラシカ・ジャパンもあまり音はいいとは言えない。しかし、ソース次第であり、スターデジオよりいい音の場合がある。音域が広いとは思わないのだが、スケール感がある。 ミュージックバードは評価が高いだけあって、Bモードはいい音がする。CDよりいいということだが、私には分からない。少なくともCDと同等だとは言える。問題はチャンネル数が少ないことである。クラシックのBモードは1チャンネルしかない。せっかくBモードのいい音で聞こうと思っているのに、モノラル時代の「歴史的録音」が放送されていたのではがっかりだ。しかしAモードも、スターデジオよりはいい音に聞こえる。 |
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