ヘッドフォンについて


ヘッドフォンのこと

 私はサブシステムなどというものはないが、メインシステム以外に、ヘッドフォンも使っているので、それをご紹介する。
  • STAX SR−404(ラムダ)+SRM006t
  • audio−technica ATH−W1000

 ただしSTAXは現在CD専用。audio−technicaもヘッドフォン・アンプAT−HA50があるが、これは専らパソコン専用に使っている。

 もともとSTAXのSR−3という古いモデルを専用アンプSRA−3Sで長年使っていたのだが、アンプがハム音を発するようになり、ある中古品販売のページでSRM006tを入手。初期のカタログでは、この製品にはいわゆるノーマルタイプの端子があるように書かれていたからだ。ところが届いた商品を見ると、プロ端子しかなかった。そこで急遽SR−404を購入した。入手後、SR−3とも比較したが、奇妙なことにSRA−3Sのノイズは消えていた。だからムダな買い物になったが、せっかくだから、主にSR−404の方を使っている。

 SR−3との比較で言うと、SR−404は尖鋭感と迫力を強調しているようである。四角い外観で、少し大きいため、見た目には重そうな感じだったが、実際は案外軽く、さほど疲れない。CDを聴いた限りでは、メインのスピーカーとの音の差はごく小さかった。スピーカーから、あまり変な音は出していないと分かって一安心した。

 ちょうどその頃、私が夜中にもかなり音量を上げてCDをかけていたことがあり、近隣から苦情が出ていたようだ。だからそれ以来、午後10時を過ぎるとヘッドフォンを使い、スピーカーからの音は小さく絞るか、全く出さないようにしている。

 コンデンサ・ヘッドフォンは構造上、背面開放型になるので、外部ノイズがある環境では使いにくい。ある時気がついたら、楽音以外の微細な外部音に対しては、むしろ敏感になるようだ。パソコンのサウンドカードの音出しにも問題があったことから、密閉型のダイナミック・ヘッドフォンが欲しくなった。

 まずパイオニア製のSE−M380Jというヘッドフォンを買ったが、パソコンの音出しがうまく行かなかったので接続不良を疑い、オークションでヘッドフォン・アンプを安く入手してパソコンにつないだ(実は接続の問題ではなく、ドライバのバージョン・アップが必要だったのである)。これで聴くと、アンプのヘッドフォン端子などから聴くよりも、ずいぶん音が良くなったようだったが、ヴァイオリンのA弦、E弦付近で周波数特性の凹凸が激しく、音楽用には使えないと判断した。

 そこで今度はATH−W1000を購入した。木製ハウジングの美しいヘッドフォンである。これはヴァイオリン帯域の凹凸もなく、スムーズであった。だが当初は、スピーカーから出している音量感と同じになるまで音量を上げると、高域がきつく感じられた。管楽アンサンブルなどは混変調歪みが発生する。STAXではそういうことがないので、エージング不足かと思い、CDプレーヤのヘッドフォン端子につなぎ、音量を上げ気味にして、数日間鳴らしっぱなしにしたこともある(CDプレーヤがファイルタイプなので数百時間も鳴らし続けることができる)。

 結論を言うと、このヘッドフォンは、音量を抑え気味にして聴くのがよい。音量を上げると、一つ一つの音がビックリマーク付きで聞こえてしまい、血圧にかかわる。密閉型といってもある程度外部ノイズは聞こえてしまうので、静かな深夜に、STAXで聴くより少し小さめの音量で聴く。すると端正な感じの音が聞ける。

 面白いのは、インバルのマーラー全集やシューベルト『世俗合唱曲全集』のように間接音の多い録音をスピーカー(サラウンド)で聴くと、何だかしっくり来ない音だが、ヘッドフォンで聴くと印象が一変する。インバル盤はスピーカーではズシン、バシンといった音がどれもドシンと鳴る。それが特にSTAXではきちんと出るし、低弦の不明瞭な感じもなくなる。試しにアンプをサラウンドでなくダイレクトモードにすると、なるほどその方が立派な音に聞こえる。

 たいていのCDはサラウンドモードで全く問題ないのだが、それが合わない場合もあるということだ。CDの音に疑問を持ったとき、他の再生手段を持っておくと、誤った判断をせずに済むということを知ったわけである。


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