雲の筏
『古事記傳』６－３
| 神代四之巻【おひつぎの考】 |
| おひつぎの考（追加の考察） 且具與２黄泉神１相論【夜見国の段の伊邪那美命の言葉】 この「且」の字について、友人の尾張の人、稲葉通邦は、「旦」の字を誤ったのだと言う。『実は 「あしたに」と読むべきだ。今夜は既に黄泉戸喫して穢れているので、すぐには現世に帰れな い。夜を過ごして、明日黄泉の神と相談してから帰ろうと言ったのだ。だが伊邪那岐命は、夜を 待ちかねて、その寝姿をうかがったのである。さまざまな穢れも月日を経れば薄まるものなの で、ここでも一夜過ぎれば黄泉戸喫の穢れも清まることになっていたのだろう。』と言うのであ る。旦の字の誤りという解釈は、なかなか良い。「あしたに」とも「つとめて」とも読める。書紀に 「それでも私は寝よう」とあったのも、こう解釈すれば、相互に参照して見ると、一夜を経て、明 日の朝を待つということで、よく分かる話になる。白檮原の宮（神武天皇）の段に高倉下（たかく らじ）が「旦見２己倉１（つとめてオノがクラをみれば）」、ここでも明朝のことを「旦」と言ってい る。 |